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2016.12.29 Thursday

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    ビートルズと私(間瀬聡)「4. TV編集版ビートルズ・アンソロジー」

    2016.10.26 Wednesday

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      4. TV編集版ビートルズ・アンソロジー

       

       僕がビートルズにハマり出したことが分かると、父が1本のVHSを渡してきた。1995年の大晦日にテレビ朝日系列で放送された番組を録画したビデオだった(父、間瀬秀雄の趣味は、テレビ番組をビデオに録画することくらいしかないんじゃないかと思うくらいで、家族はたまに彼を間瀬ビデオと呼んだ)。それが「ビートルズ・アンソロジー」、2年前の番組だった。

       

       

       番組は5時間以上あったので、3日間くらいに分けて全部見た(テレビ用に編集されていると知ったのはずっと後のことで、本当はもっと長い)。最高に面白かった。髪型の変遷を知るだけでも楽しかった(激変するメンバーの写真と名前をその都度確認した)。それからは学校から帰ってくると僕は毎日「ビートルズ・アンソロジー」を見た。何回も繰り返しそのビデオを見て、メンバーの台詞(当時のウィットに富んだ返しも、おじさんになって振り返り語りも)を覚え、ビートルズの歴史を頭に叩き込んでいった。デビューしてから解散まで8年しかなかったとは思えないくらい濃い物語がそこにはあった。今までピンとこなかった青盤の曲も、雑学を通して聴くとまた違った楽しみ方が出来て好きになってきた。25年ぶりの新曲「Free As A Bird」も素直にかっこいいと思った。インタビューも面白く、ビートルズ4人の他にも、ブライアン・エプスタイン、ジョージ・マーティン、オノ・ヨーコという、重要人物がたくさんいることも知った。デビュー直前でクビになったドラマー、ピート・ベストは心底可哀想だと思った。

       

       

       ビートルズが映画も撮っていたことも知り、父親に聞くと、これまたダビングしてあった『ビートルズがやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!』、『ヘルプ!四人はアイドル』と、手書きのタイトルのVHS2本貸してくれた(ひょっとするとベータだったかもしれない)。これも馬鹿らしくてハマった。大爆笑はできないけど、これがイギリスの笑いのセンスか、と思った。

       

       

       アンソロジーと言えばCDもたくさん家にあったなと思い出し、ビデオの中で気になった曲を探して聴いてみた。曲の背景を知ってから聴くと、また違った楽しみ方が出来るなあと気づいた。もちろん、解説文の端から端まで読んだ。革命的と大絶賛されていた「Tomorrow Never Knows」も面白いなあと思えた。そこであることに気がついた。アンソロジーに入ってる曲は、オリジナルバージョンが一つもない!未発表音源集だった。騙されたと思った。なんでこんなマニアックなものを聴かされなくてはならないのか。オリジナルバージョンが聴きたくてたまらなくなってきた。うちにはビートルズのオリジナルアルバムは、『Abbey Road』と『Help!』しかなかった。その2枚をまずは聴き込んだが、やはり『Revolver』が気になる。ロックの名盤とされている『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』も聴いてみたい。解説が付いている日本盤が欲しかった。月々のお小遣いも限られているし、すぐには集められなかった。

       

       

       そんなことを親にも話していたのだろうか。母が「次のテストで順位上がったら、ビートルズのCD買ってあげるわ」と言った。おお!ラッキーと思い、僕は張り切って勉強した。もともと勉強は苦手ではなく、基本的に学校の試験なんて暗記レベルなので、覚えれば点がとれた。頭がいいこととテストで点がとれることは別だ。僕は決してガリ勉ではなかったが、要領がよかったので、まあまあ良い成績を残すことが出来た。そして無事に学年順位を上げて、僕はビートルズの7枚目のアルバム『Revolver』を手に入れたのだ。ずっと未発表デモ音源の「Tomorrow Never Knows」や「And Your Baird Can Sing」を聴いていた僕は、オリジナルを聴いてもデモの方がいいような気がしていた、というのが正直な感想だ。お気に入りは「Eleanor Rigby」、「Taxman」、「For No One」、「She Said She Said」だった。

       

       

       父も、自分よりビートルズに詳しくなっていく息子に感化されたのか、新品で『The Beatles』(ホワイトアルバム)の輸入盤を買ってきたりした。なんで解説がない輸入盤を、と心の中では思ったが、ありがたく聴かせていただいた。ホワイトアルバムは変なアルバムだったけど、そういう意味不明なところも含め「ナンカカッコイイ」と思い込んで、ひたすら聴いていた。学校が休みの晴れた日曜日に聴くとぴったりな感じがした。中学時代の終わりの頃には、ビートルズと言えば、ホワイトアルバムかアビー・ロードを連想するようになっていた。赤盤しか知らない僕ではなくなっていた。

       

       

       その後も僕は定期試験の度に、ご褒美を設定させてもらい、ビートルズだけではなく、オアシスのアルバムもゲットしまくることになる(ミスター黒崎の授業に来てたイギリス人のアシスタント・イングリッシュ・ティーチャー、エマが教えてくれた。ビートルズの「You’ve Got To Hide Your Love Away」のカバーをツタヤで見つけて借りたらハマったのだ)。UKロックが僕に勉強をさせて、UKロックのおかげで僕は進学校に合格することができた。サンキュー、ロックンロール。

       

       

      (「5. 作曲開始」に続く)

       

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