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2016.12.29 Thursday

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    ビートルズと私(間瀬聡)「3. 赤盤の日々」

    2016.10.11 Tuesday

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      3. 赤盤の日々

       

       

       それから僕は来る日も来る日も赤盤を聴きまくった。その頃はまだ、どれが誰の声なのかも、ベースとギターの違いさえもよく分かっていなかった。ただ、レトロでかっこいい曲だなあと思って、学校から帰ると毎日赤盤を再生した。日本語解説も貪り読んだ。赤盤の歌詞カードはアルファベットが全て大文字で印刷されているので読みにくかったが、CDに合わせて一緒に歌えるように練習した。しばらくは(ビートルズあるあるだが)、ジョンとポールの声の音量バランスが対等なので、ポールのハモりパートの方を主旋律だと思い込んでいた。どうしても高い音に耳がいってしまう。「I Want To Hold Your Hand」も「She Loves You」もジョンパートからポールパートに自然に移動して歌っていた。今でも癖で主旋律とハモりを混ぜこぜで歌ってしまう。

       

       

       いつでも聴けるようにカセットテープにダビングして、父の運転する車の中でも聴いていた。初めて犬をもらって飼った時(マルチーズと謎の雑種犬のミックスだった)、親戚の家からの帰路、車内で子犬とじゃれながら「Eight Days A Week」のポールパートを歌っているホームビデオが今も実家にある。ある曲を聴いて、特定の思い出が呼び起こされるのは、音楽のいいところの一つだ。

       

       

       僕は赤盤のディスク1が一番好きで、ディスク2はレトロ感があんまりなくて、まあまあ好きだなという程度だった。ミスタードーナッツで感じていた、あの郷愁感が少ないと思った。今になって考えると、確かにデビュー当時の楽曲はレトロだけど、1965年頃の楽曲になると、どこかしら普遍的なモダンさもあるように感じる。そしてそれは改めてビートルズの凄さ、斬新さを痛感させる。

       

       

       青盤は苦手だった。「Let It Be」は分かる。「Hey Jude」もいい曲だと思う。でも解説に書いてあるような「Strawberry Fields Forever」や「I Am The Walrus」の良さが全く理解できなかった。なんだかややこしくて、変な声の変な曲が多いなあと思った。青盤はちょっと聴いただけで、赤盤リピートの日々がしばらく続いた。

       

       

       しかし大好きだったディスク1も聴きすぎて次第に飽きてきた。そうするとディスク2の「We Can Work It Out」や「Drive My Car」などのポップでノリのいい曲にハマってきた。お洒落だなと思えてきた。それでも「Michelle」や「Girl」は少し暗くてあまり好きではなかった(「Yesterday」も相変わらずお気に入りではなかった)。

       

       

       その頃には、歌詞カードを見て歌うだけでなく、自分でもギターを弾きながら歌いたいと思うようになっていた。中学1年生の誕生日に、桜山の愛曲楽器で、祖母に韓国製のタカミネのアコースティックギターを買ってもらった。僕は、スピッツの草野マサムネさんが「チェリー」で弾いているようなナチュラルカラー(薄い木の色)のギターが欲しかったが、祖母と母がサンバーストカラー(濃い茶色で周りが黒のグラデーション)の方がかっこいいと言って、そっちを買うことになった。ジョン・レノンが弾いているギブソンのアコギのような色だ。ギターは独学で教本を見ながら適当に毎日弾いていた。手元を見ないでコードチェンジがスムーズに出来るまで、何回も練習した。少し弾けるようになると(本当に少しだ)、『ザ・ビートルズ80』という、コードが載っている楽譜を買ってきて、赤盤の曲をジャカジャカとストロークして弾き語りした。難しい押さえ方のコードがある曲は無視した。僕が未だにギターがあまり上手くないのはこういうところがあるからだ。それでもギターを始めたことで、ビートルズをより一層楽しめるようになってきた。

       

       

      (「4. TV編集版アンソロジー」に続く)

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